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Q

家の売却を安心して任せられる不動産会社の営業担当者の見分け方とは?

質問 妻と子ども1人がいる都内でサラリーマンをしている者ですが、マイホーム購入にあたり横浜市泉区に所有している家を売却することを決めました。
その家は7年前に亡くなった祖父から相続しました。祖父は資産家で、私を含めた孫3人にもそれぞれ不動産を残してくれました。
祖父の子どもである私の父は、複数の不動産の他にも株や現金などまとまった遺産を相続しましたが、昔から金遣いが荒くて遊びやギャンブルでほとんどの財産を失ってしまったため、私が父から相続できる財産はないと諦めています。
ということで、虎の子の財産である家を手放すということとマイホーム購入の負担を少しでも減らしたいことから、できるだけ高く家を売却したいです。
そこで、不動産に詳しい会社の同僚におすすめの不動産会社がないか尋ねると、家を高く売るには不動産会社よりも誰が売却を担当するかが大事だと言われました。
聞きたいことは、家の売却を安心して任せられる不動産会社の営業担当者の見分け方についてです。
そのためには、まず不動産会社をいろいろ回らなくてはいけないと思いますが、どのタイミングで営業担当者の善し悪しを見極めればよいかも教えて欲しいです。
A

不動産会社(担当者)判定チェックシートで客観的な指標を評価しています

不動産売却は、多くの人にとって人生で何度も経験することのない大きな取引です。その成否を大きく左右するのが、パートナーとなる不動産会社の担当者の能力や姿勢です。しかし、数多くの不動産会社の中から、本当に信頼できる一社、そして担当者を見極めるのは容易ではありません。
そこで、特定非営利活動法人住宅情報ネットワークが消費者の声を基に作成した「不動産会社(担当者)判定チェックシート」は、客観的な指標で不動産会社と担当者を評価するための有効なツールとなります。このチェックシートは23の質問項目から構成され、最高80点満点で採点することで、担当者の資質を総合的に判断できるよう工夫されています。
本稿では、このチェックシートを基に、不動産売却を成功に導くための担当者の見極め方を詳しく解説します。

【会社の信頼性と安定性を見極める】
まず、担当者個人の評価の前に、その担当者が所属する会社の信頼性を確認することが不可欠です。
・創業年数と実績(重要度[★★★]):会社の歴史は、その地域でどれだけの実績と信頼を積み重ねてきたかを示す一つの指標です。チェックシートでは、創業20年以上が最も高い3点と評価されています。長い業歴は、豊富な取引経験や地域情報、そして安定した経営基盤の証と言えるでしょう。
・行政処分の有無(重要度[★★★]):過去5年以内に監督官庁から行政処分を受けていないかは、会社のコンプライアンス意識を測る上で極めて重要な項目です。処分歴がない場合は3点と高評価ですが、処分歴がある場合は0点となっており、信頼できる会社選びの最低条件と考えるべきです。
・事業内容(重要度[★★]):不動産会社には、売買、賃貸、管理など、それぞれ得意分野があります。売却を依頼するのであれば、売買をメインに扱っている会社を選ぶのが賢明です。売買仲介の実績が豊富な会社ほど、販売ノウハウや購入希望者の情報を持っている可能性が高まります。

【担当者のレスポンスと基本姿勢】
担当者の業務に対する姿勢やスピード感は、売却活動全体のスムーズさに直結します。特に重要度が高い項目は、返答までの時間です。
■対応スピード(重要度[★★★〜★★★★★])
・机上査定の返信時間(重要度[★★★★]):6時間以内が最高評価の4点。
・電話の折り返し時間(重要度[★★★]):6時間以内が3点。
・質問への返答時間(重要度[★★★★★]):その場で回答できない質問に対して、6時間以内に返答がある場合が最高の5点とされています。これらの項目は、担当者が顧客をいかに大切にしているか、また業務を効率的に進める能力があるかを測るバロメーターです。迅速なレスポンスは、売却の機会を逃さないためにも不可欠です。
■ビジネスマナー(重要度[★★]):電話応対の質、服装や身だしなみ、挨拶や礼儀といった基本的なビジネスマナーも評価の対象となります。丁寧で誠実な態度は、信頼関係を築く上での第一歩です。大切な資産の売却を任せるに値する人物かを見極めるポイントになります。
【専門知識と丁寧な業務遂行能力】
査定や物件調査における専門性と丁寧さは、適正な価格での売却や後のトラブルを未然に防ぐために欠かせません。
■専門性(重要度[★★★〜★★★★★])
・「宅地建物取引主任者証(現:宅地建物取引士証)」の提示があるか(重要度[★★★★])は、担当者が国家資格を持つ専門家であることを確認する基本動作です。
・質問に対して的確に答えられるか(重要度[★★★])も、担当者の知識レベルを判断する上で重要です。
・最も重要度が高いのは「物件の状態をきっちり評価しているか」(重要度[★★★★★])という項目で、建築士が評価する場合が最高の5点とされています。専門家の目で建物の状態を詳細に調査することで、物件の価値を正確に把握し、買い手への的確な情報提供が可能となります。
■業務の丁寧さ(重要度[★★〜★★★★])
・給排水や換気といった設備の確認を怠らないか(重要度[★★])。
・査定時に物件を傷つけないよう手袋を着用するか(重要度[★★★★])。このような細やかな配慮は、売主の大切な資産を丁寧に扱うというプロ意識の表れであり、信頼に足る担当者かどうかを見分ける重要なサインです。

【売却成功に導く販売戦略の具体性】
最後に、そして最も重要なのが、担当者が具体的な販売戦略を持っているかという点です。これらの項目は重要度が軒並み高く設定されています。
■戦略の提示と傾聴姿勢(重要度[★★★★★]):「販売に関する戦略の説明があったか」と「話を聞いてくれるか」は、共に最高評価の5点が与えられています。これは、担当者が一方的に計画を押し付けるのではなく、売主の意向や状況を深く理解した上で、市場動向や物件の特性に基づいた最適な売却戦略を立案し、分かりやすく説明できる能力を重視していることを示しています。
■広告活動の質と量(重要度[★★★〜★★★★★])
・写真撮影:物件の魅力を引き出すために「室内画像の撮影に工夫があるか」(重要度[★★★])。
・チラシ:その物件単独のチラシを作成するか(重要度[★★★★★])、そのサンプルを見せてくれるか(重要度[★★])、配布枚数は1万枚以上か(重要度[★★★★★])など、具体的で積極的な広告活動が評価されます。
・インターネット掲載:今や販売活動の主軸であるインターネットにおいて、「30サイト以上」のポータルサイト等に掲載するかどうかが最高の5点評価となっています(重要度[★★★★★])。
■オープンハウス戦略(重要度[★★★]):ただ開催するだけでなく、集客や運営に関する具体的な戦略があるかが問われます。

これらのチェック項目を一つひとつ確認し、点数を集計することで、各不動産会社および担当者の実力を客観的に比較検討することができます。
不動産売却の成功は、単に高く売れることだけではありません。納得のいく価格で、スムーズに、そして安心して取引を終えられることが重要です。このチェックシートを羅針盤として、複数の担当者と面談し、点数だけでなく、ご自身の感覚とも照らし合わせながら、心から信頼できるパートナーを見つけ出すことが、後悔のない不動産売却への第一歩となるでしょう。

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